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2015年9月28日付 Yahoo!ニュース 「<朝霞男性絞殺>殺人容疑で『警察官』が逮捕された! 一般人より『罪』が重くなる?」記事内に、弁護士片田真志のコメントが掲載されました

2015.09.28

メディア掲載

埼玉県朝霞市の住宅で58歳の男性が死亡しているのが見つかった事件で、埼玉県警は9月中旬、殺人と住居侵入の容疑で、浦和警察署勤務の現職巡査部長(31)を逮捕した。

報道によると、この巡査部長は、男性の住居に侵入して、ロープで首を絞めて殺害した疑いがもたれている。「金目当てだった」「不倫していた」などと供述していることから、警察は、不倫の交際費を捻出するために犯行に及んだ可能性があるとみている。

現職警官が殺人容疑で逮捕されるという事態を受け、埼玉県警は9月23日、臨時の署長会議を開き、貴志浩平県警本部長が「県警史上、例を見ない事件で、まさに言語道断であり、痛恨の極み。失われた信頼を回復するには、警察の使命を果たすこと以外にない」と訓示した。

警察官の不祥事はあとを絶たない。犯罪を取り締まる側の警察官が罪を犯した場合、一般の人に比べて罪が重くなるのだろうか。元裁判官の片田真志弁護士に聞いた。

職務との関連性によって、罪の重さが変わる場合がある

「結論としては、警察官による犯罪の場合、職務との関連性の大きさによって、刑罰が重く科されることがあります」

片田弁護士はこのように述べる。どういうことだろうか。

「一口に警察官が犯罪を行うといっても、職務に強く関連する犯罪と、そうでない場合までさまざまです。

たとえば、警察官が、万引きを行った女性に対して、逮捕されたくなければいうことを聞けといって脅し、取調中にわいせつな行為をした場合などは、職務に極めて強く関連した犯罪といえます。この場合は、特別公務員暴行陵虐(りょうぎゃく)という特別の犯罪が成立しますし、裁判で科される刑も、当然重たくなります。

強制捜査等の特別の権限を与えられている警察官がその権限を違法に用いて犯罪を行った場合には、厳しい非難が向けられて当然でしょう」

一般人にはあてはまらない、特別な罪が定められているわけだ。

「警察官が捜査上知った秘密をネタに恐喝したとか、知人の犯罪の証拠隠滅に協力したような場合なども同様です。職務と関連した犯罪であるため、一般人が同じ犯罪を行った場合に比べて、量刑上重たく処罰される傾向があります」

罪の重さに影響しないケースとは?

「一方で、警察官が、夫婦げんかの際に相手に暴力をふるってしまったような場合は、警察官としての職務とは関係がありません。

もちろん、犯罪を撲滅し治安を維持すべき職業に就いているのですから、私生活においても高度な倫理観を持つべきだとはいえますが、それを理由に刑罰を格段に重くするのは、行き過ぎでしょう。

このようなケースでは、量刑において職業が大きく考慮されることはあまりありません。これまで説明してきたように、警察官による犯罪の場合、職務との関連性の大きさによって刑罰に与える影響は異なってくるのです。

朝霞市の殺人事件についても、職務との関連性の強弱が刑罰の重さに影響を与える可能性はあるでしょう」

片田弁護士はこのように分析していた。

(弁護士ドットコム ニュース編集部)

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